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以前種運命とのコラボ小説を作っていたのですが途中で挫折した経験があります。
この小説はアドベント主人公グレイとアッシュそれぞれのサイドで語られる物語。
アルバートの言葉を思い出した二人はふと自らの存在を考える。
戦う中で徐々に分かっていくこともあるがそれがまた怖いと言う現実。
そんな時声をかけたのは・・・・・
ちなみにsideAにはエール、sideBにはヴァンが登場します。
では下の方からどうぞ☆
この世界に降る雨は少年の心に僅かな戸惑いをもたらす。
それは自らの運命に立ち向かって戦う少年の心に触れてしまうかのように・・・・・。
「参ったな。しばらく止みそうにない・・・」
ミッション後、突然の雨に見舞われたグレイは近くにある突き出る崖で雨宿りをしていた。
地上に落ちていく降り注ぐ雨。
この世界の何かを消し去るかのように降り続く雨を見つめているとグレイはあることを思い出す。
『ボク自身が未だに何者かはよく分からない。戦い続ける中で見つけようとしている。
さらに深まる謎、それを浮き彫りにしたのはレギオンズだった・・・・・。
そう、アルバートの言葉。』
目覚めた時から“失敗作”と言われてきたグレイはずっと考える。
『どうしてそんなことを言われなきゃいけないのか?』
自分がどうして駄目な存在なのか?と問い続けている自分自身。
自分だけがなぜ?どうして?分からない自分にただ戸惑うしかない今。
それを見つけるには戦うしか方法が無い現実。
「自分自身を見つける。ボク自身を見つける。本当のボクはどこにいるの?」
「珍しいね。無口なキミのそんな姿を見るなんて。」
どこかで聞き覚えのある声に顔をあげたらそれは傘を持ってグレイを見つめるエールだった。
「エール?!」
「風邪とか引いてない?平気かしら?」
「それなら大丈夫、でもどうしてここに?」
「たまたまハンターキャンプに立ち寄ったら、キミが戻ってないって聞いて迎えに来たんだ。」
「そうなんだ、ありがとう・・・。」
そう言うと俯く顔を見せたグレイ。
エールはそういう行動している彼が気になってしまう。
「グレイ元気ないね。考えごとでもしてたの?」
さっきまで思い出したくもない考え事をしていためか、その言葉が少年の心に僅かな傷となってしまう。
「そういうこと言うなよ!」
グレイは「傘を貸して」とエールから少し乱暴に傘を受け取るとさっさと外へ出て行ってしまう。
『アタシ、何だか悪いことしたかしら・・・?』
自らの言葉がグレイ自身の心に触れてしまったことを理解しているのか分からないエールはグレイの後ろ姿をただ見つめるしかなかった。
傘をさして後を追いかけるエールだったがグレイは無視して目も合わさずにさっさと歩いている。
地を落ちた雨で出来た水たまりを踏むとバシャ!と音を立てるが気にせず歩き続ける。
「グレイ」
「・・・・・」
「聞いてないの?グレイ!」
しぶしぶこちらを向いてくれたが「今エールとは話したくない。」と言う不機嫌そうな顔を浮かべて見えた。
「アタシ、何か悪いことでも言った?」
「別に。」
「本当に?」
「本当だって。」
「じゃあ本当ならどうして話してくれないの?」
「エールには関係ないよ。今は話したくないんだ。頼むほっといてくれ・・・。」
そう言い残してグレイはエールから逃げるようにさくさく歩いていく。
行動からして誤魔化しているようにしか出来ない彼にエールは驚かそうと考えた。
『無理矢理でも聞いてほしい』と。
そう思い行動に移した瞬間エールが傘から手を離し後ろからグレイに抱きついた。
そのはずみで彼の手から傘が離れていき降り出す雨は二人を包んでいた。
「なっ、なんだよ!?いきなりこういうことして・・・。」
「キミが誤魔化しているようにしか見えないからだよ。」
突然の出来事にグレイの顔は赤く染まり恥ずかしそうな表情を浮かべる。
そして悩み考えた末グレイは悩んでいることをエールに打ち明けた。
「ボクは自分が何者か分からないのが怖い。
不安ばかりで。どうしてこんな気持ちになるのかなって考えてた。」
「・・・・・」
「『ボクの存在は一体なんだろうか?』って。このまま戦い続けていても分からないままじゃないかって。」
言葉一つ一つを優しい眼差しを向け聞いていく内に彼は自分自身に不安を抱いていることを知ったエールはすぐに謝った。
「ごめんね。アタシがキミの気持ちを知らないで勝手に色々と言ったり、困らせちゃったりして」
「ううん。せっかくエールが心配してくれたのにむきになったボクも悪いよ。」
「いやアタシのせいだって。それにキミと違った形でそんな気持ちになったことあるしね。」
「エールも?」
「うん。昔のある日、アタシはこう思ったの。」
『アタシは大切なヒト達を守れているかなって?』
大切なヒトの意思を継ぎ戦い続けたあの日。エールは悩んでいた、自らの力でヒトを守れているかを。
エールがそう言ったのはグレイがかつての自分に似ていると思ったからだ。
「本当に守れているかなって自分を責めたこともあった。ずっとそんなことばっかりで。生きている人生ですごく悩んでたな。」
「エール・・・・・。」
「でもそんなこと考えなくてよかった。」
「どうして?」
「だって皆がアタシのこと支えてくれるから」
彼女がロックマンとして戦えた陰には支えてくれる誰かがいたことをある。だから戦いも諦めずにここまで来れたのだと語る。
「そう思えば自分のことも考えられるかな?」
「そう・・・だね。ボクもエールみたいに頑張れるかな?」
「キミなら出来るよ、グレイ。」
「エールみたいに?」
「うん!アタシが言うんだもん。」
雨上がりの空を見上げ自信満々で言い切ったエールにグレイは自信と勇気を貰った気がした。
『ボクも頑張らなきゃ。たとえ自分の運命がどうなろうともボクはボクの運命を信じる!』
「さてハンターキャンプまで送るわ。一緒に行きましょう、グレイ。」
「うん!」
雨上がりの空を背景に二人は並んでハンターキャンプを目指した。
この空のように自分と向き合えるその日まで・・・・・。
-小説後記-
ゲームでは気を取り直していたグレイですがやっぱり心のどこかで気にしているかな?って思ったのがきっかけで作った小説です。
雨の中、二人の会話をどうするかで苦労しましたがお届けすることが出来てほっとしています。
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ゲーム音楽を生活の一部とする面も。