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社会人として、一人のオタクとして過ごすまったりな日記。
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今日は半年ぶりとなる小説掲載の日です☆
約半年前に掲載したゼクスシリーズの小説 Change of the faithsのアッシュ編に当たるお話が出来ました。

この話は舞台は同じなのですがアッシュの心情とヴァンとの会話で揺れる心を描いてみました。

ではご覧になりたい方はこちらからどうぞ。

少女の記憶に微かに触れようとしているモノ。
それは彼女自身の正体、分からない自分自身に対してかのように。



突然降り始めた雨が地面を濡らしている中、アッシュは雨宿りをしていた。
ミッションが終わり降り始めた雨は止むどころかさらに本降りになっているためか、これでは帰れないと凄腕のハンターもさすがにお手上げであった。
 

「あちゃ~。これじゃハンターキャンプに帰れないわ。」
雨宿りする場所から目の前の風景を眺めていたアッシュはふとあることを思い出す。
 
『アタシ、自分のことをよく知らないのが凄く怖い。あの時レギオンズで言われた言葉を気にしてしまう。』


考えもしなかった。自分のことでこんなにも悩む自分(ワタシ)がいることを。
普段強がっている彼女がいざ自分自身について考えると不安や恐怖にかられ、それは彼女にとってとても辛く知られてしまったらきっと泣いてしまう気持ちにさせてしまう。

いつまで経っても消えることのないその陰りは一生彼女と共に生きていくかのように潜む。
自らの抑えきれない不安に思わず泣き出しそうになってしまうアッシュ。


『自分に問いかけても分からない。存在しているアタシには分からない。本当のアタシは誰?』

 
「いつもの強気なお前じゃないな、アッシュ。」
ゆっくりと顔を上げるとそこにいたのは手に傘を持ち、心配そうな顔をしているヴァンだった。

「ヴァン!」
「こんなところにいたのか。」
「どうしてここに?」
「たまたまハンターキャンプに寄ったらお前が帰って来ないから迎えに来たよ。」
「へぇ~そうなの。だから迎えに来たのね。」
「まぁな。」
 
ヴァンはふとさっきの落ち込んでいるアッシュのことが少し気がかりだった。
それは今までにない不安を抱えているように見えてならなかったが。

「さぁ、ハンターキャンプへ帰りましょうか!」
傘を受け取ったアッシュは意気揚々と外へと出て行った。
 


降りしきる雨の中での帰り道。
気ない会話で盛り上がる中ヴァンは先程気になった話をアッシュに聞いてみた。
 
「なぁアッシュ。」
「何?どうかしたの?」
「さっきのお前を見て思ったことがある。お前何か考え事でもしていたのか?」
「えっ?私、アンタには考え事している風に見えたの?」
「ああ。普段のお前には無い姿を見た気がするが。」
「そう。アンタの気のせいじゃ・・・ないの。」

 
急に触れられせいか彼女の心は少しだけ揺れ動き、普段の自分を保とうと誤魔化そうとする素振りを見せ始める。

「それってヴァンには関係ないよ。例えあってもこれはアタシ自身の問題だから。」
「そうか?確かにこれはアッシュ自身の問題だがお前が抱え込む必要はない。」
「そうかな?でもアンタには関係ないよ。アンタに話してもきっと分かってくれない。」
「アッシュ!」

徐々に触れられていく心に彼女自身は耐えられる余裕はもう無かった。

「ヴァン。悪いけどもう触れないで・・・・・本当に嫌だから。」
彼女がその気持ちに触れてきてほしくないとすたすたと歩みだした瞬間、ヴァンは持っていた傘を手放しいきなり手を掴んだ。


「もう触れてほしくないっていったでしょ!!!離してよ!」
「だったらなんでそんな顔をする?」
ヴァンには分かっていた。アッシュは何かに脅え不安に満ちていることを。
 
「こんなことでむきになるな。正直に話してくれ。」

「・・・・分かった、話すよ。」
「アタシ自分の存在が急に怖くなったの。戦って知っていくことが本当にいいことなのかなって・・・・・・。
ずっと心に留めておきたかった。でも、隠しているだけで辛く苦しくなっていったの。
アタシ、自分を知りたいと本当に良かったのかな?ってね。」
「アッシュ・・・。」
 
その姿は凄腕のハンターと呼ばれる自信溢れる彼女ではない。
それは年頃の少女のように泣きそうな顔をしていた。話を聞いた後ヴァンはアッシュにこう言った。

「人は生きていく中で誰も触れたくないモノを必ず持っている。まぁ、強気なお前の事だからなおさら隠そうとしているよな。」
「うん・・・」

「けど一人で背負うとするのは辛い。それは自分自身を苦しめるに過ぎない。
それにお前一人で戦っているわけじゃない。これは全てをかけた戦いだからさ。」
「そっ、そうね。」
 
「本当の自分を知った時、どんな結末になっても受け入れる準備をすることも大事だけどまずは不安な気持ちを誰かに言ってみな。俺だって話を聞くだけの力になることは出来るから。」

その言葉は彼らしく仲間として、彼女への優しさを見せていた。

「全く・・・。あんたはお人好しだからね。」
彼なりの優しさに触れすぐにいつものキリっとした彼女らしい表情に戻っていた。
「さぁ、ハンターキャンプまで送ってやる。」
「はいはい。」
 
『アンタなりの優しさだったね。ありがとう、ヴァン』
 
 
雨の中放り出された傘を回収した二人はハンターキャンプまで帰っていった。
雨は彼女の心に触れた彼の優しい雨かのように二人を見守っているかのように・・・


-あとがき-
こちらはアッシュ編なのでグレイ編とは違ったお話にしてみました。
彼女が持つ意思の強さ故の苦しみを救ってあげたヴァンの優しさが伝わると良いですが・・・
 

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